11.突然の心変わり







好きなものはジェイド、嫌いなものも馬鹿王子。
褒め言葉以外は聞こえない、褒め言葉以外は聞く気がない。
声高に叫ぶ姿は自意識過剰もいいところ。
付きまとう姿はうとましい、これが魔物であれば一瞬でぶっすり行くところを。
軟禁された悲劇の王子を自称するあいつも、気に障る。
ネビリム先生が仲介に入っていなければ、絶対仲良くなんてしてやらない。

まぁもちろん、仲良くといっても、上辺だけでも繕っておけば十分なのだけど。



生きている人間に興味はない。
当の昔に暴かれた人体の秘密など、一度解剖に立ち会えば理解できる。
だから自分の実験道具に使おうなんてのは考えたこともないけれど。
疎ましい。
あいつがウロウロしていなければ、僕は自分の探究心を満たすためだけに時間を避けるのに。




「ねぇ、お兄ちゃん、サフィール達が来たわよ、一緒にスケートに行こうって。」

「またか…ネフリー、追い返してくれ、忙しいんだ。」

「忙しいって…本、読んでるだけじゃない。」

「いつも読めないんだ、邪魔されて。」



「そんな堅いこと言うなよなぁ、なぁサフィール?」

「そうだよジェイド、今日は先生も出かけてるんだし…。」



「ネフリー、僕が許可を出す前にあげるなって、何度も言っただろ。」

「ご、ごめんなさい、二人が聞いてくれなくて…。」

「ネフリーを責めんなよ、俺達が勝手に上がったんだから。」

「じゃあ不法侵入だ、帰れ。」

「お、お兄ちゃん…!」




ほらまたこうだ、下手をすると親がまた遊んであげなさいとか言い出すんだろう。
それは面倒くさいから、本を閉じて立ち上がる。
何が悲しくて、わざわざスケートなんかをしなくてはいけないのか。








街の近くの、池。
これだけ寒いし、その池が凍っていないということはそうそうない。
案の定綺麗に張った池、朝から少し降った雪のせいで、表面には雪が積もっている。
馬鹿王子は早速滑り出す、ついこの間までまったく外に出れなかったくせに。
ネフリーももう一人で靴を履けない歳ではないから、さっさと氷の上に立っている。
僕もとりあえずは靴を履いて、あとは氷の上に立つだけだというのに。



「あれぇ…えっと、ここをこうして…。」



紐を結ぶ手が、たどたどしい。
絡まって絡まって、いったい何をしてるんだ。
そうしている間にも馬鹿王子とネフリーは氷の上を滑り始めていて、放ってほけばあの馬鹿王子、何をしでかすか分からない。



「おい、サフィール。何してるんだよ。」

「う、うん、ごめ、急ぐ、から…!」

「はぁ…ほら、手をどけろ。」

「あ…ジェイド…ありがとう…っ。」



決してこの鼻たれのためではない。
自分に言い聞かせるようにしながら手早く紐を引いてやると、靴は完成。
滑るのもコイツは下手っくそだが、ここまでしてやったんだからネフリーも何も言わないだろう。
鼻たれのことは放置して、氷の上に片足を乗せる。



「うっ、わ、わわっ!」

「………。」

「サフィールー!大丈夫ー!?」




対岸のあたりから叫ぶネフリーの声。
盛大にこける鼻たれ。
本当に世話が焼ける。

…なんでこんなに、この馬鹿のために足労しなきゃならないんだ。


















「ホント、あの頃のお前はサフィールには甘かったよなぁ。」
「やめてください、気味が悪いです、吐き気がします。」
「お前なぁ、がらっと心変わりしたくせに、まーだそういう白々しいことを言うのか?」
「えぇ、陛下に言われると気持ち悪いだけなので。」
「そういうことなー、お前成長するたびに性格捻くれてねぇ?」
「陛下に言われたくはありませんよ。」









「ジェイドはホントに優しいね。」


気付けば唐突に甘くなる自分も、なかなか現金だとは思うが。
盲目的なところを除けば、本当は―――。










「じぇ、ジェイドがにやけてる…。」

「ルーク〜?何か言いましたかぁ?」

「ひっ!!ななななな何も言ってませんんん!!」





突然の心変わり―――自分でも驚くほどの、新境地。





END





あれ?なんで子供雪国なんだ?(・3・)アルェー
大人ジェイドにこの心変わりは無 理 だ!!
っていう流れだったような気がします、でも子供雪国なんか楽しかった(ぁ
うちのジェイドは意外とディストに甘いです(ぇえ