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そんな貴方が大好きで。 そんな貴方が憎らしくて。 だけど結局、ホントはどうしたいか、なんて。 絶対口にはしやしない、だから。 そんな貴方の沈んだ心なんて、オレにはきっと、分からないから。 空の色 ある日オレは何の考えもなく、唐突に陽の下へと足を動かした。 前はそんなに嫌いでもなかった太陽の光が、今はあまり好きじゃない。 練習の時なら別、格別の時間を過ごすのに、光は必要不可欠だから。 私生活なら、いらない。 ちりちりと照りつける光が鬱陶しくて、嫌い。 だから自分から外に出るのは、好きじゃない。 誰かがオレの手を無理やりに引いて、喚く口を塞いでくれないと。 いつも、オレは一人では外に出ない。 だけど、今日は。 呼んでも来ない。 叫んでも来ない。 喚いても来ない。 声に出して、名前を呼んだら。 呼ばれたような気がしたから、そう言ってぐしゃぐしゃな顔で笑ってくれるのに。 どこに行ったんだろう、親を亡くした子供みたいに、一人でオレはうろうろ。 暑苦しい太陽、冬の光はさして強烈でもないはず。 光がゆらゆらとしていた、慣れない眼は先を見せない。 迷い子のようにうろうろ、知っているはずの道を、初見のように。 だって知らない、一人では通ったことがない。 困ったように笑って、だけど手を引いていてくれたから。 今更になって気付くありがたみ、だけどどうせオレはひきこもりで。 花井の気持ちがわからなかったわけじゃない。 どんなに頑張って笑ってたって、オレが思った風にならないの、気にしてたに決まってる。 どうすればいい、どうすればいい、ずっと悩んでたの知ってたはず。 それすらどうでもよかったオレは、いつも突き放してばっかりで。 なのにいざ、消えてしまうと、これ以上ないくらい苦しくて。 花井が分からない、だけど花井も、オレのことなんて分からない。 人間なんだから、当然じゃないか。 わかるわけがないんだ、むしろ、オレは分かってなんて欲しくない。 わかりたいとも思わない、そんなの結局、面白くないから。 だけど花井は知りたがる、知っていないと、理解出来ないと。 地雷を踏むのが怖いから。 そんなことしたって、誰も怒ったりしないのに。 その恐怖心を植え付けたのは間違いなくオレなのに、一人うろうろ。 ごめんな、って言いたい、せめて。 オレのこと嫌いになっちゃったんならそれでもいい、ならせめて。 花井の気持ちがわからない、だから今だけ、わかってもいいと思った。 それこそ、本気で考えればわかるはずのことなのに。 見つからないばかりに気持ちが焦って、何も考えないでただ必死に。 あちこち歩き回って、だけど見つからない。 たくさん考えればすぐわかるはずだ、どこにいるか、今何してるか。 冷静を取り戻せないオレは馬鹿みたいに、同じところを往ったり来たり。 いつもは花井が手を引いてくれる道を一人、ぽつぽつ歩く。 望めばよかったんだ、花井に、ずっといてって。 だけど傲慢すぎるオレはそれを受け入れられない、そんな願いは心底傲慢だから。 我儘に、付き合わないで。 そう願うのが必死だった、だけど付き合ってほしい自分がいる。 だけどそんなの、花井はわからない。 花井は決して器用じゃないから、オレがどうしてほしいかなんて、絶対にわからない。 不公平だと、思うこともある。 オレは望めばわかるけど、花井は望んでもわからない。 オレはわかりたくないのに、花井はわかりたいのに。 普通、逆。 どうして不相応な配役をくれたんだろう、オレは別に、天才でいたいわけじゃなかった。 楽しければいいのに、毎日。 花井はどこにいるんだろう。 どうしようもなくなって、その場にしゃがみこむ。 陽の沈み始めた道路の端で、一人ぽつんと。 花井、声に出したら届くだろうか、二回も三回も、もう呼んでみたけれど。 頭を振って、立ち上がる。 しゃがみこんでいても、状況は変わらない。 それどころか花井はきっと落ち込みっぱなしで、オレのこと待ってるはずだから。 確証なんてない、来るな来るな来るなって、思ってるのかもしれない。 それでもとりあえずは、いい、構わない。 言ってわからなければいい聞かせるだけ。 オレの声が分からないなら、わかるまでただ、昏々と。 薄暗い夕焼けの道をてくてくと歩いていけば、そこには見慣れない公園。 こんなところがあったんだ、そもそもここに道があったんだろうか。 知らない場所、知らない時間。 夕暮れの時間に出歩いたりなんてしないから、これはただのシュールな妄想。 ただの、夢。 だけど花井は、そこにいた。 公園の砂場の真ん中にぽつんと立って、寂しげに。 門を割ろうとして、そこで足は動かない。 空を見上げてぼんやりと、そう、ぼんやりと。 なんて現実じみた夢なんだろう、それこそ本来の意味で、シュールに。 超現実的、乾いた笑いしか出てこない。 「―――はない。」 声はない。 呼んでも花井は、ぼぅ、と空を見てるだけ。 くるくると回る天気を追って、意味のない行為に没頭してること、気付いてない。 空の色なんて、人には決して分からない。 言えばいいのに、わからないやつ。 自分でわからないってわかってんのに、直接オレに言えばいいだけなのに。 どうしてそうやって、わかりやすいカモフラージュに逃げるのかな。 わからないわけがないよ。 花井のことなら何でもわかるのに、なんて不公平、不相応。 わからなければいいのに、わかればいいのに、簡単な天気予報。 わからなくて、いいのに。 「意地悪して、ごめん、な。」 見つからない言葉、小さすぎる辞書の中から掻い摘んで。 本当はこんな言葉じゃ伝えたりないけど、だけど夢の世界は本当は、短すぎるから。 いいところで終わる、期待すればするほど、色も結局わからないまま。 見えない冷たい壁、ひんやりとしたそれに手を合わせて。 届かないとわかっていても、精一杯に笑う。 目が覚めた時に、そこに例え、何もなくても。 夕焼けに混じり合う、歪んだ笑顔の意味が今は、わからなくて。 * はっ、と。 一つ息をついて思い切り体を起こせば、真っ暗闇が占める静かな空間にいた。 自分の部屋じゃん、酷い夢を見ていた気がする。 左手でごしごしと目をこすって、視界を開く。 晴れる視界の先には、何もない。 夢も現も、結局―――。 ふと、指先に違和感。 寒さに一つ身を震わせて、それから手を引く。 温かい感触、これは、何。 そろ、と布団をめくる。 おそるおそる、ほんの少し。 暗闇に薄ら光る白い頭、あれ、どうして、ここに。 「は、ない、ど、して。」 寝てる、寒々しい部屋の中で、オレがめくったから、白い息を吐いて。 オレの手を、ぎゅっと握って。 ここにいた、もしかして、ずっと? オレがずっとずっと、丸一日、いや、たぶんものの数分の間なんだろうけど。 ここ、に? ―――もう、ホント。 ちゃんと言えよ、言わなきゃわかんないじゃん。 ごめん花井、わかんないもんだな。 「花井の、ばか。」 「…ん、だよ、るせぇな…。」 「っ、うぉ、起きて…。」 「今起きた、るせぇよお前、何…?」 「…うっせぇ、花井が悪ぃ。」 「?」 「勝手に、いなく―――。」 「なんねーって、馬鹿じゃねぇの?」 は、ぁ? 「オレはさぁ、お前が天才だろうが引きこもりだろうがんなことどうでもいいんだって。」 「なん、で。」 「何だっていいだろ、考えたってわかんねぇし。」 いいじゃん、と続けて言う。 短絡的すぎて、嫌になる。 即物的な考えが、うざったすぎて。 そんな自分が嫌いで、花井が嫌いで。 「…あーもう、天気悩んでたなんてバカみてぇじゃん。」 「はぁ?まさか明日晴れたら練習行かないとかじゃ…。」 「ちっげーよ、花井のばーか。」 空の色なんて、謀れないくらいが、ちょうどいい。 悩んでたのがどうして、ホント。 能天気なくらいが、ちょうどいい。 空の色―――移ろう空は恋心。 くっさwwww最後くっさwwwww 遅くなったけどえいちびに捧げます、1周年おめっと!! っていうか意味がわからない^^^^ これは果たして ハ ナ タ ジ なのか。 でもいいんだ、ハナタジったらハナタジなの。 田島は夢見が悪いと信じて止みません。 |