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ねぇ、フタオチョウって知ってる? 南欧とか、熱帯アフリカとかのほうで飛び回ってるんだよ。 鮮やかな模様がとても綺麗な蝶なんだ。 元来の蝶とは違って、素早く飛び回る。 それでね、 常識崩壊論 知ってた? 笑顔で振り返る肩の向こうに、ピンで留められた哀れな蝶々。 綺麗な顔なのに、飄々と語る姿はピントがずれている。 笑みの形で固まった姿、言うなれば自分も、同じ。 ひらひらの袖口の邪魔くささを、いつから意識しなくなったのか。 「そういうチョウがいるっていうのは知ってた、名前とか、詳しくは知らない。」 「そう、でも知ってるんだね、どういうものかは。」 「そりゃね、やっぱり辿りつくもんじゃない?」 性質的に、つけ加えると一度目を丸めて、それから笑む。 やっぱり栄口も同じことを考えていたんだろう、繋いでいた手に温もりが灯った。 ピンで留められた不快な姿を見せるために連れて来てくれたんだろうか? まぁ。 オレ達の間にムードとかそんなもの考えるほうがどうかしてるんだけど。 逆にいえば、こういうことのほうがオレは楽しい。 よく惚れたりしないなぁ、そう思うくらい。 大好きなのに、誘われて即答するくらい好きなのに。 やっぱり本質知ってるから? それも含めて好きなのに? 不思議。 「腐った果物とか。」 「小動物の死骸とか。」 「そうそう、そんなものばっかりによっていく。」 「綺麗なのになぁ。」 「でも綺麗だから、こんな風にしてでも飼ってみたい?」 「うん、そう。」 ガラス張りの展示スペースの向こうにある、ピン止めの標本。 本来ならスピーディに飛び交う姿も、綺麗な羽根を留められては意味がない。 それでも綺麗だと思ったら、やっぱり手元に置いておきたくて。 逆においてほしいとも思うし。 そうしたら、最後には食ってしまえるだろうから。 死んだら、ね。 例えばそれはオレの場合、決して小動物でもないし、熟れきった果物でもないのだけど。 ―――似てるよね。 うん。頷いて、微笑む。 趣向から人気のない展示スペースには、もともと常識なんてないのかもしれない。 いや、常識なんてとっくに崩壊してるのか。 外には出るけれど、当面知り合いの顔なんて見ていない。 徐々に壊れていく日常も、忘れてしまえば一緒。 オレよりもずっと長くそこにいる栄口は、もう新しい常識が成り立ってしまっているくらい。 今となっては、一般的な常識のほうに吐き気を感じる。 オレにしても栄口にしても、常識はもう一つしかない。 珍しく送り出してくれたことには何か理由があるんだろうか、 でも早く、帰りたいな。 外行きの服の形状にもとうに慣れて、繋いだ手を重厚に繋ぐ鎖の重さにも今は愛情を感じる。 だから、腐ってしまったら一緒に食べてしまいたいなぁ。 栄口はそう言いたいんだろ? 問いかけると、うん、と短い返答の後にまた笑んでくれる。 同じ気持ちであったことが嬉しくて、鎖で繋がった手を揺らした。 「帰ろうか、二人だけだと物足りないね。」 「そだな、買出しでる時だってもう物足りないのに。」 「今度は三人で来ようよ。」 「帰ったらピン留めにされるかもしんねーよ?」 くすくす笑って、全然いいよ、っていう。 オレも同じ。 手首の間で揺れる手錠を鳴らして、綺麗なチョウに背を向ける。 ガラスの向こうの姿は哀れだったが、もしオレも同じになるなら、 たぶん哀れとは思わない。 常識崩壊論―――貴方以外は忘れてしまった。 サドレ物語の一遍で書いてみた。 こんな感じになる予定、言うてこの辺りに来てると終わりが近そうだけど。 頭の中ではこんな話が出来てるのに、なかなか進まないよー!! っていう、息抜き程度に書いてみた^^^^^← 女装に見えない女装ほど、羞恥心をあおるものってないと思う、この話には全然関係ないけど\(^o^)/ フタオチョウって綺麗だけどやってることエグイっていう、私の中では田島・栄口によく似ているという! ホントはアベミハでフタオチョウネタやろうと思ってたんだけど、結局栄田になってしまった;; |