愛してるよ。
耳元で小さく囁かれる。
積み上げただけの言葉に意味はない。

そんなことホントは、思ってないくせに。









迷いの森








無邪気に憧れれば憧れるほど、不必要な邪念に遊ばれる。
それはただの尊敬だったのに、貴方はそれすらも勘違いして。
だけどそれはもう、どうでもいいお伽噺。
満ちた疑念に行き場はなくて、逃げたオレには何もない。
そうして出来たこの場所も、やっぱりオレの居場所にはならなくて。

それが初めてでも何でも、終わったものは仕様がない。
だから、何?
そう聞いて、誰か何か、オレの求める答えをくれるんだろうか。
まるで均衡したまま動かない、戦略の張り合いそのもので。

愛してる?
甘ったるいだけの言葉、締め上げる腕は止まらないくせに。
詰まる息も痙攣する体も、見えていて君は知らないフリ。
見えていて、知っていて、「好きだよ。」なんて。
可愛い、愛してる、そんな言葉。
じゃあ首を絞める手を離してよ、「馬鹿だなぁ、好きだって言ってるの分からないのかなぁ。」。

分からないに決まってる。

嫌だと喚いても、痛いと叫んでも、助けてと、喚き泣いて叫んでも。
オレの言葉は届かない。
誰がオレを愛してるって?
飼いならすための甘ったるい言葉はもう、聞き飽きてるっていうのに。
それでもオレは逃げられない、深くて暗い馬鹿だらけの森に、迷いこんでしまったから。
悪循環で終わらない紙芝居に、どうやったらピリオドが打てる?



いっそのことオレが死んでしまえばいいじゃないか。



そう言えば、「そんなこと出来ないようにしておくから、安心して。」だって。
どうして、貴方達はオレのことなんか、ホントは大嫌いなんじゃないか。
早く死んでしまえよ、って思ってるくせに。
枠に収まらない、彼らはとても自信家だから、枠の外なんて必要ない。
潰れるわけがない、必要とされる瞬間が来るわけもない。
どうして選んでしまったんだろう、ただ走りたくなかっただけ。
走れば走るほど蔦は絡んで森は深まる、幕引きはまだ見えない。
可愛いよ、愛してるよ、大好きだよ。
耳元で囁いたって騙されない、そんな言葉聞きたくもない。
嘘と虚心で塗り固まった風のような言葉が、飄々と飛びだす、息が苦しくて。
鈍痛は引くこともない、直線的なものだけではないから。
じくじくと痛むのが体だけならまだし、貴方達の言葉は正常でいたい心まで痛めていくから。

ほら。
そうやってオレが怯えるのが、楽しくて仕方ないんでしょ?
好きにしたって、言うこと聞かないと罵るくせに。
優しくしたって意味はない、結局それは、圧迫感。
甘いフリして近寄って、結局することは同じ。

みんなおんなじ。

優しい顔からぴかぴかに光る刃が覗いているのに、そんなことすら気づかない。
虐め抜くのに忙しくて、自分の本質すら見えていないから。
そこから覗く白い刃は、確実にオレを追い詰めてるのに。
汚いったらない。
惨めなものを見下ろして、勝ち気な王様気取り。
外枠の外を必要と思わないから。

放っておいてよ。
ふひつようならそうといって。
さっさとおれをおいだして。

だけど棒読みなセリフは役者にすら届かなくて。
結局衆人観衆は、面白可笑しげに声を上げる。

愛してる、とか、好き、だとか。
もうそんな言葉いらない、聞き飽きた、ホントは思ってないくせに。



うそつき、そんな安い言葉は聞き飽きた。



這っていく白い手が、荒らす細い指が、全部憎い。
放っておいて!そうしたらオレはこの森を抜けていくのに!!

必死な演技はもういらない。
高慢な自惚れは大嫌い。
人のいい振りなんて見飽きた。
優しい笑顔はどうせ偽物。
無邪気なフリすら演技のくせに。
取るに足らない気遣いすら、わかってる?
馬鹿みたいに笑って、どうせ蔑んでるだけなのに。
優しくしたって意味がない。

貴方のその横暴な言葉ももう、いらない。
言うこと聞かないと乱暴して、そうやって自分に酔ってるだけ。
愛してるなんて言葉が嫌い、空白の行間ばかりに意味を求めて馬鹿みたい。
少しでも期待を持って、オレはなんてバカなんだろう。
一つ一つ丁寧に批判して、だけど一人一人反応はない。
オレの些細な抵抗なんて、彼らにはまったく意味のないものだから。




「ばぁか、西広、愛してるって言ってんのに。」




遊んでるだけでしょ。




「どうして伝わらないのかなぁ。ねぇ?」





そんなこと思ってないからに決まってるじゃないか。





「ホントだよ?オレ、西広のこと超愛してる。」





嘘付き、嘘付き。





「ホント、西広、可愛いよ。愛してる。」






ならどうして首を絞めるのか。
迷いの森は、まだ明けない。






迷いの森―――愛せば愛すほど、ちょっと歪んでしまっただけ。









らーぜ×先生っていうところかしら、と思いつつ。
正直らーぜが一番Sの集団に見えるんだよね、私。
ちなみにちょっとだけ泉西風味が強かったりします。
可愛い子ほど虐めたくなるらーぜの思いは一生・先生には届きません。
非日常が一番嫌いな人だから。
だけど日常になって慣れていってしまうと、そんな自分がどんどん許せなくなっていく。
らーぜはただ可愛いお人形で遊んでいた気分で、どんどん自暴自棄になる先生の心理が分からない。
言葉じゃ分からないからじゃあちょっと武力行使で、ってそれ、いつもと何が違うのやら→結局追い詰めてるだけ
愛しいだけじゃ伝わりません。
という、なんら突発的に思いついたものすごいダークサイドなお話。
これだと田島や栄口ですら攻めになってしまうから笑えた。
ホントこいつらの受け基準って曖昧すぎて私がわからんくなってきた。
田島も栄口も三橋も、別に自分は受けでも攻めでもどっちでもよかったんだと思う。
ただ受けてくれって、攻めにお願いされたから。
今回は先生総受けなので、他CPはまったく前提にありません、鬼畜共の宴。