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「花井、ちゅーしよ。」 「…はぁ?」 One more Please!! しねぇよ、と。 振りかえり様に言おうとして止めた。 コイツ、構えて待ってやがる。 目を閉じたまま、唇だけ突き出して。 …勉強しに来た自覚あんのか? いや、ないな。 さもなきゃ喜んで家に来るわけがない。 勉強の合間にすぐご褒美ご褒美って、高校生の自覚があるのかすら怪しい。 それでもやんないと拗ねて勉強にならないから、仕方なくやってるわけだが。 一回だけだぞ、忠告して。 羞恥心をなだめすかして触れるだけしてやれば、へろん、と笑う。 やる気になったらしくて再度シャーペンを握ると、まったく進まなくなっていたはずの解答がすらすら書き連なっていく。 分かってて進めなかったっていうのもあながち捨てきれないとこ。 5分おきにやってるオレも相当阿呆だとは思うけど、どうしようもない。 もう一回、もう一回とせがまれると、どうしても、うん。 そんなもんだ、仕方ない、オレ男だし。 田島だって男だし、だからねだるわけだし。 そう結論付けて、その後黙々と続く課題の山に目を向ける。 休み終わりも近いというのにどういう量だこれは。 効率のいい奴ならとっくに終わってる量だったいうのに、まったく手をつけていないらしい。 「花井、ちゅー。」 「っるせぇなぁ、ちょっとしか進んで…。」 「ちゅー。」 …あーはいはい。 机越しに頬を引いて、また一回。 もう何回したっけな、覚えてない。 言ってる傍から2、3行書いては手を止めて、にこにこ笑いながら見上げてきやがる。 やる気ないのか、聞けば首を振る。 どうもやる気はあるらしい、ならとっとと手を動かせよ、手を。 「ちゅーしてくれたら動かす。」 「教えてもらう側の人間が何言ってんだよ…。」 「花井が教えたいって言ったからじゃん。」 思わず脱力した、何でコイツ呼んだんだろ。 真面目に教えてやろうと思ったが、これじゃ話にならない。 仕方ないからもう一回してやったが、どうせ間もなくしてもう一回とねだるだろう。 と。 見解したものの。 それからもう、30分以上もねだられていない。 さっきから顔を上げてはここの解き方は、やり方は、なんて。 真面目に勉強してやがる、つい30分前まで、やる気なくちゅーちゅーねだってきたくせに。 こっちがしたくなってちゃ世話ねぇっての。 「―――花井、何?」 「…あ?」 「さっきから何見てんだよ、ベンキョーできねーだろ。」 「あ、あぁ悪い。」 …何でオレが怒られてんだ? わけのわからないものを感じながら、盛大に溜息をついて一言。 「…田島、ちゅー。」 One more Please!! ―――おあずけなんてそんな酷い! なんだこれorz |