「泉ってさ、すごく口悪いよね。」

「…何?いきなり。」

「口悪いの直したほうがいいと思うってこと。」





おぉ、すごいしかめっ面だ。








口癖を一日止める








口癖、ではないけれど泉は相当口が悪い。
えげつないことも暴言も同じ口で吐くものだから、それってすごく勿体ないと思う。
こんなこと言うと泉は怒るだろうけど、せっかく整った顔が台無しだ。
静かにしてれば本当に見とれるほどカッコイイのに、口を開けば棘だらけ。
顔がいいからごまかせることでも、やっぱりそれに見合った綺麗な言葉遣いをしてみてほしい。
という、単純な興味だったりするんだけど。
綺麗な言葉遣いで話す泉なんて、それこそ女の子の妄想の中にしかないだろう。
彼女たちの夢を叶えたいのではなく、これもまた一つの興味として。
やっぱりそれなりの言葉遣いが出来るって、ゆくゆく武器にもなると思うし。
口がうまいだけでは、ダメだと思うんだよね。
それもあり、オレの興味もあり。
そういうわけで進言してみたんだけど、当の泉は相当不服そうだ。
教えていた英語のノートに滑らせていたシャーペンを置いて、じと目で見上げてくる。
ノートの上には少し雑に並ぶ英単語、教えてくれと言われたから。
試験まで間もなく、英語は大体花井が教えるんだけど今日は別。
普段ならオレは田島と三橋が受け持ちなんだけど、二人の英語があまりにも酷くて、集中させるためにも、花井と阿部にお願いした。
それで今日はオレが他のみんなの英語を担当することになったんだけど、用事だなんだて集まらなくて。
珍しく泉と二人。
昏々と英語について教えていた時に、ただ不意に思いついた、興味。





「…言葉遣いとか、んな今更じゃねーか…。」

「ちゃんとした言葉遣いが出来たほうが、今後いいと思うんだよ。」

「…あー…興味ねぇ、それは却下ってことで…。」

「ダメ、泉は英語苦手でしょ?ちゃんとした日本語が使えれば、英語の読解力も上がるから。」

「そりゃ西広だからじゃねー…?」





やれば出来ると思うんだけどなぁ、泉は全然頭いいと思うし。
言葉遣いはそのうちネックになると思う、大学推薦で社会に出るのはまだ先だとしても。
泉のことだから、その気になれば敬語の使い分けなんて簡単に出来るんだろうけど。
それでも、ちゃんとした敬語の基礎くらいは、ね?
しばらく説得したら聞いてくれるかもしれない、そう思って何度か進めてみる。
歯切れ悪くイヤだ、を繰り返していても、必要と分かればやると思うんだ。
やっぱりその辺、世渡りに必要だと思ってくれたら。
泉は馬鹿じゃない、勉強出来ない野球部とよく言われるけど、西浦はそうでもない。
英語が苦手だと言うけど、苦手意識が先立っているだけだと思う。
頭のキレはいい方だ、数学のような考え方も向いているようだし。
語学のほうは数学向きな考えでは難しいんだろうけど、それもやっぱり基礎があれば泉ならこなせると思う。





「オレは泉が綺麗な言葉遣いしてるの、見てみたいな。」

「っていうか、それが本音?」

「それは付加価値だよ、泉のためっていうのが優先。」





うーん、と切れの悪い表情だ。
でもオレだって、ね?馬鹿じゃないし。
笑ってみせると、興味の逸れていた目が少しずつ言葉を理解していく。
興味心のために利用していると言われたら、まぁ、それまでなんだけど。
でもやっぱり、泉のためってわかってることで。
ちゃんと言ったら、わかってくれるんだろ?





「オレが教えるから、ね?」





「…それ、分かって言ってる?」



「よくわかんないけど、日本語の勉強だよ?」





「…ん、わかった。西広センセ、日本語オシエテ。」





―――ほらね。

どうせ一日で元の口調に戻ってしまうんだろうけど。
オレはオレの興味が満ちればそれでいい。
泉も、同意の上で欲求が満ちればいいことなし。
ちょっと単純な方程式だけど、難しくてもしょうがない。
英語の教科書を閉じて、机越しにいた泉が体を伸ばしてくるから。
物事に多少のリスクは必要、ということで、オレも一日、うるさい口を塞いでみよう。







口癖を一日止める―――ある種の現実逃避と知りながら。









あいやー!初の先生受けが大変残念なことに!
イズニシ、イズニシなんて需要ねーよ!と思ったら、イズニシを扱ってらっしゃるサイトさんもあるのですね!
びっくりした…かなりのリピーターになりそうな予想である(ぁ
しかしなんだこれwwそもそもお題の内容に沿ってない気がするww
泉の口癖なんてないだろう…田島ならゲンミツだけど、今回我慢させるのは泉のほうって決めてたし。
もちろん先生側にも口癖なんてないし、あるぇーってかこのイズニシ、先生のほうが攻めっぽく見えるってどういうこと??←
イズニシですからー!←