「栄口!!田島と三橋は!?」

「今さっき逃げ出したとこだよ、すぐ帰ってくるって言ってたけど、
まぁ帰って来ないだろうね。」



なんで引き留めないのか問われると、それは返答に困るというか。








平凡にして不穏の心









あー、しまった、と扉の前でしゃがみこむ花井を見て、苦笑。
別に勉強を教えたいわけでもないんだろうに、放っておけないからって毎日ちゃんと見て上げて。
本当に世話好きというか、自分の試験勉強もしながら人のも見ていて、大変だろうに。
時々そういうのが放っておけなく見えて、おせっかいにも二人を逃がしたりして。
自分だって勉強あるのに、だけどたまには、そう思って。
逃がしてしまったことも、それを引き止めなかったことも、花井は咎めないって知ってる。
だからそんなことに甘んじて、こうしてのんびり出来るくらい、作ってあげたいと思うのは。
どうしようもない、我儘だってことも分かってはいるんだけど。



「ったく…栄口が止めないからって逃げやがって、帰って来たらいい聞かせねぇとなぁ…。」

「はは、言って聞くかなぁ。」

「確かに、あれで聞くようならこんな苦労はしねぇか。」



そんな風にしてくしゃりと笑うのは、田島が相手だからだろうか、三橋が相手だからだろうか。
困ったように笑う様、それを呼べるのは二人で、オレじゃないんだなぁと思うと。
こんなことも我儘で、あぁオレはまた、余計なことを。
気付いてしまったからにはどうしようもなくて、オレは特に気にもせず、これからも過ごしていくんだろうけど。
切ないとも言わないし、悲しいとも思わない。
そんなことを言って何が変わるでもないことを、オレは知っている。
馬鹿なことになるくらいなら、不穏は心は押しとどめていた方が楽なんだ。
世話焼きな貴方に惚れた、自分が悪いだけ。



「悪いな、栄口、古典はオレ全然だからさ、田島と三橋もいると思うと、頼っちまって。」

「いいよいいよ、オレも自分の復習とかしたいしさ。」

「そうか?なら、いんだけど。」

「花井は古典は大丈夫?教えられるとこならオレ、教えるけど。」

「んーいや、今んとこは平気かな、また頼むかも。」

「…うん、いつでも聞いて?」



すぐにでも頼ってほしい、逸るばかりの気持ちは押さえて、笑んだ。
この平凡だけでも大事にしていかないと、オレは、きっと嫉妬してばかり。
そんなのはオレじゃない、少しでもこの時間を大事にしていよう。





「…あ、そうだ、聞きたいこと、あんだけど…。」

「え、あ、勉強のこと?」

「や、ちょっと違う…あー…全然違う、わけわかんねぇことかもしんねんだけど…。」

「…?」




「栄口、今、その…――――。」










平凡にして不穏の心―――駆け引きいらずの恋愛対象









うおー花栄なんて初めて想像とか妄想とかしたぞー!(ぁ
しかし意外に楽しかった、こういうカプはありだと思う、うん。
基本的に花井が右なものは何でも許せるのよね、私は(ぇえ