いいなぁなんて言われても。

もう決まっちゃってることだし、今更ねぇ。



ガクランドリーム



例のコンテストに参加する人も、協力する人も、球技大会自体には参加しないといけない。
参加する奴らは大変なんだろうなー、と心配して。
でもオレはもちろん参加しないから真面目に球技の方に集中して、あっさり終わった。
もともと真面目にとは言っても、完全個人技で長く勝ち進めるでもなく。
同じようにしてあっさり負けてきた水谷と、他の応援にでも行こうか、としている時だった。



「あ、ねぇあれ、田島と三橋じゃない?泉もいるよ。」

「え?あーっホントだ!!」



同じ服での登録はなし。
よくわからない制限があるので、ブレザーとセーラー服なら間違いなく二人だ。
それに泉はしてないから、後ろ姿でもさすがにわかるわけで。
―――危ない、あれが着せられそうだったのか…。
遠目に見ているのもなんだから、二人の方に行ってみることにして、声をかける。
近くで見ればなお分かる―――。



「田島ー、三橋ー、泉ー!」

「んー?あ、水谷、栄口。」

「ふ、二人とも、試合は…っ?」

「あっさり終わっちゃったよ、そっちは、二人がそれしてるってことは…。」

「ううん、オレ達は勝って終わったよ、なー?」

「あぁ、田島が普段にも増して容赦なくてな…。」


サッカーだったよね?団体競技だったよね?


「準備させる時間が惜しかったんだよー、花井も試合控えてっしさ。」

「そっか、コーディネイトする側がいないんじゃやらないよね。」

「篠岡も行っちゃうし、オレがやるわけにゃいかねーからな。」


むすーっ、とした泉の顔。
まぁ、気持ちは分かるよ、田島がこれだけ可愛いのは花井がやったからなんだろうし。
ホントはやりたかったのかなー、泉が7組にいたら花井と激突してたろうなーとか。
あぁ、やりたそうなのは水谷も一緒か。
探せば他に女装させる服もあっただろうに、オレが怒ってダメって言い聞かせたからしない、って。
女装なんてしたくないよ、田島じゃないし。

本当の髪の毛みたいにふわふわなびく黒い艶のあるポニーテール。
化粧をしているせいか、いつものそれより愛らしく見える顔。
さすがにこの季節に冬物のブレザーを着せるわけにはいかなかったのか、紺色のベスト。
赤いリボンタイに、赤いチェックのスカート。
紺色のハイソックス、黒のローファー。うん、これで胸があったら以下略。

田島と泉の後ろに引っ込んでいる三橋もだ。
動くたびにひょこひょこと動くツインテール、同じく控えめに化粧をしてある顔。
しかしこのセーラー服、一見ではちょっとセーラー服に見えない。
襟の形は確かにセーラー服のそれ、しかし地は白で、黒い線が入っているだけ。
薄いピンク色のリボン、シンプルながら細工があり、スカートも紺の地に白い線を引いてある。
これは一体、何処の…?


「どっちの服も篠岡イチオシらしいぜ、特に三橋のは気合入ってるとかなんとか…。」

「どっかの女学院のかな…。」


さすがにそんなに詳しくないからよくわからないけど。
まるで仮装大賞でもしてるかのように、西浦の学内は一見女の子で溢れ返っている。
巫女さん、メイド、スチュワーデス、果ては長襦袢。

なんでこんなに詳しいかって?
聞かないほうがいいと思うよ。


「結局最優秀賞ってなんなんだろうね…。」

「女装セット一式とかだったりして〜。」

「えーっなんだよそれ!オレ、いらねーよ!」

「でもそれってコーデした奴に贈られるんだろ?ならおめーなら花井だろ。」

「オレがもらえたら泉にやるよー。」

「いらねーよ!」

「じゃあオレにちょうだいよ〜っ。」

「…栄口がいいって言ったら。」


「却下。」



何でオレが女装しなきゃいけないんだって。







「で、これね…。」

「酷い景品だよねー…。」


部室のど真ん中を占拠するその一式。
黒縁のメガネ、やたらとふわふわした茶色の猫耳、そしてスタンダードなメイド服。
なんてこった。


「山分けでもする?オレはいらねー。」


結局のところ、最優秀賞に輝いたのは三橋と田島の両名。
実はその後、二人のところに男が殺到したり、泉が一喝したり、大変なことがあったりした。
オレと水谷は離れたところから見ていたけど、泉はもはやヤ○ザもびっくりな勢いで蹴散らしていたっけ。
そんなわけで、二人の最優秀賞同着というのは頷ける、が。
この景品は酷い。
一応阿部と花井に贈呈されたわけだが、本人たちも処置に困っているらしい。
あ、前言撤回。


「オレはこれもらっとく。」

「え、猫耳…!?」


やっぱりね、阿部はそういう奴だよね。
と、そんなことをしていると。


「ねー花井、メガネもらっていー?」

「あ?お前それ、度入ってねーんだぞ?」

「いいよいいよ、もーらいっ。」


何考えてるんだろう?
そして花井の手元にはメイド服が残ることに、花井は気付かなかったんだろうか。
あ、今気付いたな。


「あ、ちょ、タンマ!水谷!頼むから待ってくれ!!」

「やーだよーだっ。」


うわー、すごい失敗したって顔してる。
っても、一回了承したことを水谷が撤回するわけないので。
メガネを持って、さっさと飛び出す。
オレの手を掴むことも忘れてないらしいので、あっさり手を引かれて飛び出して。

長いこと走って、や、走る意味なんてなかったはずなんだけど。


「へへー…メガネゲットー。」

「何?そんな欲しかったの?」

「んー、どっちかってと、メイド服が残って慌てる花井が見たかった。」

「そういうことね。」


納得。



「はー…栄口のセーラー服、見たかったなぁ…。」

「なっ…まだ言ってんのかよ、いい加減にしろって…。」

「わかってるよ!わかってるんだけどー…やっぱり違う服って新鮮だし…。」


まぁ、うちは自由服だからね。
そういう水谷の気持ちが分からないかって言われると、そうでもないから。
でも女装はしない、絶対しない。


「…女装以外ならしないこともないよ。」

「え!?」

「女装以外なら!!」

「じゃあ!!」


え、結構あっさり思いつくな。





「花井サイズの学ラン着てみせて!!」





――――え?花井サイズ?
なんで?





「ぶっかぶかだろうから!!」




あぁ…そういうことですか…。
意気揚揚と携帯を取り出す水谷。
あまりの単純さに呆れてオレは、その日一番の盛大な溜息をもらした。

結局その後学校に戻ったり、花井の家に行ったり、水谷の家に泊まりだったりで、相当面倒なことになったのは言うまでもないだろう。




END





以下おまけのらくがき↓



ブレザーのゆうちゃん、ポニテは完全に私の趣味…;




実は三橋初描きだったorz
セーラーのれんちゃん、ツインテは本当に似合いそうだったんだよ!




学ラン勇人、なんでもう一個女装お題じゃなかったのかが残念で悔やまれる(ぁ
とりあえずぶかぶかなのを着せておきました(ぇえ



今度こそEND☆(長っ





しょうもねぇ!!(笑
ただ単に、女装させたかったが故にとってきたお題…うん、恥ずかしいくらい楽しかった(ぁ
でも栄口はホントに悔やまれる!