澄み切った泉に、指を浸して、波紋が広がる。


静寂のなかしゃがみ込み、ひたすらに水を覗き込む。




ようやく。




ようやくこの時が。




冷えた泉につけた指を、もっと深く深くに潜らせていく。

探るように、掌を広げ水中を泳ぐ。

手首、肘、どんどんと水面に吸い込まれていき、感触が消えていった。
長い髪がどんどん水に消えていく、金色の光は水に晒され濁っていく。


構わなかった、掴めさえすれば。
君に触れられるだけで。


肩まで潜り、ぴたりと動きを止める。


水面が、張り詰める。



「リオン…。」
















(―――。)
















「リオン…っ。」
















(―――ン。)
















「ぁ…。」















指先が触れる。質感をもった、冷たい感触。




「リオン…っ!」
















(―――タ、ン。)
































「リオン…っ!!」
















(―――スタン。)
















あぁ、あぁ。



やっと見つけた。






細く滑らかな指をぎゅっと掴む、今度は絶対、離さないように。
確かに触れた指に指が絡み、緩やかに激しく求めるように。

ぐ、と引く。力強く、この腕に抱き留めるために、今度こそ逃げてしまわないように。

光の届かない、魚影さえもない泉の中に、薄ら大きな影が浮かぶ。

澄み切った泉にゆらめくそれは漆黒の―――。




「リオンっ!!」



ざばぁっ。

水の弾ける音、水面から飛び出してくる、愛しい愛しい、その姿。
濡れた体を抱き寄せて、精一杯慈しみを込めて抱きしめる。

還ってきたのだ、愛しい君が。




「リオン…っ。」


「ス、タン…。」







「もう二度と、間違えない…!」







「スタン…。」








「今度こそ…一緒に…。」









冷えた唇に触れる、先を求めるように頬を撫ぜる。
冷たくもその奥にある確かな温もりに、微笑みを浮かべた。
そっと引き寄せ、唇を重ねる。




「リオン…。」



「スタン…僕は…。」



「今度こそ、間違えないように…。」



「…あぁ。」






誓い合うように、頬を重ね、唇を合わせる。




それはまるで奇跡のように開く扉。



Open Gate




END





DC発売おめでとうございます!!
というのに合わせて書いてみました、その向こうのと連動してます。



また君に会えた奇跡を。