「ちょ、ちょっと待って、タイム!!ホントに待っ…やめてってば!!」

「待つわけないだろ!!こんな面白可笑しいこと、他にあるの!?」

「探せばあるよ!!絶対あるからタイム…って来るなぁぁっ!!」



騒々しい…一体何なの…?






指の先で大波乱






今日は本当に本当に何もすることがない。
マスターたちが毎日ランダムに繰る乱闘の組み分け、今日はそれも綺麗に外れた。
行動し始めようと思う時間が遅すぎたらしく、何をするにも先客先客。
こんなに退屈な日は久しぶりだ。
静かに訓練でもしてようと思ったから、未完成のフィギュア共を相手にしてようと思ったのに。
訓練部屋には今日の空きメンバーが既にごった返していて、なんていうか、やる気が失せた。
や、誰かと訓練するのが嫌なんじゃないんだけど、寝坊したせいかぼく自身が驚くほどテンションが低くて。
仕方ない、ゴロゴロしてよう、部屋で。
そんなに時間もしないうちに、きっとリュカも帰ってくるだろうし、そうしたら構ってもらおう。
一緒にやろうと言う声に断わりを返して、自分の部屋へ。
時間的には一戦目が終わってるくらいかなぁ、実は今日の組み分けをちゃんと見てないから、リュカがいつ終わるのか全然把握してない。
部屋に帰ったら対戦表もちゃんと見ておこう、暇だし、迎えに行ってあげてもいい。
それまでの間何をしてよう、蔵書部屋から本でも取ってこようかな。
何もなければ平和そのものなこの世界、やることがなければ一層に暇だった。
とにかく何か、リュカが来るまで気を紛れさせれるもの。
そんなことを考えながら一人でフラフラ、自分の部屋へと足を向けている時だった。



「ちょ、ちょっと待って、タイム!!ホントに待っ…やめてってば!!」

「待つわけないだろ!!こんな面白可笑しいこと、他にあるの!?」

「探せばあるよ!!絶対あるからタイム…って来るなぁぁっ!!」



…何、この声。
騒々しい足音と叫び声、うん、声の正体が分からないわけじゃないんだ。
声の先はスタジアムからの帰り道、っていうことは、一戦目の組ってことで。
確か、うん、マルスもいたよね。
にしても、マルスがあんなに慌てた声を上げてるのが珍しい、追いかけてるのはロイだろう。
ロイは確か、今日は試合がないはず、ということは観戦でもしてたのか。
イラナイ思考の間に二人は角を曲がって、ぼくのいる通路にまで転がりこんでくる。
二人はぼくの姿を見るなり、マルスはしまった、ロイはやった、という表情に変わる。
その上二人の後ろについてさらに転がりこんでくるのがピットくんとアイク。
何事かと一歩後ずさりかけるぼくに、マルス以外の全員は同じ言葉を叫んだ。



「ネス!!マルス捕まえて!!」

「うわぁぁっちょっ、待ってホントに待って!!ネス!!お願いだからやめて!!」



…と、言われると。
興味をそそられる方に傾いちゃうのは、人間の悪いところだとは思うんだけど、ね?
仕方ない、好意より先に興味心が湧いてくるのは避けられない人間の本能ということで。
ロイ達には了承の、マルスには覚悟しろ、という意味合いで、ぼくは目尻を笑みに変えながら、つ、と指先をマルスに向けた。
ふ、と指先を振るい、マルスの足先にぼくの力を絡め、ぐい、と引っ張る。



「う、わ、ちょ、ネスのバカぁっ!!」

「バカはどっちだよ、バカ王子!!今日こそ年貢の納め時なんじゃない!?」

「その通りだよ、マルス。ネス、ありがとう。」



瞬間マルスの足は見事に空で蹴躓き、盛大に床へとお見合い。
その上にロイの上を飛び越えてきたピットくんがどっかり乗り込んで、ロイが利き手を抑えつける。



「どういたしまして、っていうか、これは何事なの?」

「マルスの弱点を見つけた。」

「え、弱点…!?」



この、非の打ちどころがないと言ってもいい、コイツに、弱点なんかあったのか?
ぼく自身の戦い方とマルスの戦い方との相性もあるんだろうけど、ホントに弱点らしい弱点なんか思いつかないっていうのに。



「うぐぅ…ネス…こ、今度覚えてなよ…!泣いたって許さないことしてあげるんだからねっぶふぁっ!」

「12のいたいけな少年になんてこと言うんだこの変態!!」



…強いて言うなら、頭が湧いてることくらいだろうか。
マルスの際どい発言にピットくんが制裁を加え、その間にぼくは後ろについてきていたアイクの方に再度向き直る。



「で、弱点、って?」



「脇腹、だ。」



「…はい?」



この。
はっきり言って、頭が湧いてるくらいしかダメなところが思いつかない。
この。
完璧すぎると言っても間違いじゃないくらいの。
この、この、この完璧王子が。



「脇腹が、弱い、ってこと?」

「そうだ。」

「わああああバカアイクーっ!ネスにまで話すなんて卑怯だぁっ!!」

「…なんでそんなこと分かったの?」

「いや、オレが気付いたんじゃない、観戦していたロイが気づいたんだ。」

「僕も偶然なんだけどね…ただホント、決め手は試合後かなぁ?」



ニマニマ。
そんな表現がぴったりだ。
ロイもピットくんも、さらにはアイクまでニマニマ。
や、アイクは顔は笑ってないんだけど、雰囲気がすごくニマニマ。
3人のそんな様子を見て、マルスの顔がさーっと青ざめていく。
うわぁ、これはどうもホントみたいだなぁ…。

発端は至って単純、乱闘中、カービィがマルスの脇腹へ入れた微妙な一撃。
その表情の微妙な変化と、非常に微妙な声のおかげで、その事実へとたどり着いたらしい。
もちろん、気付いたのはロイだけ。
マルス、ロイ、ピットくん、カービィは思いっきり対戦中。

確かに見るに徹していないと気付けなかったかも。
…惜しい、なんでぼく寝坊しちゃってたんだろ、ロイのことだから、観戦誘ってくれてるはずなのに。
だからロイは、乱闘が終わった直後に切り出したらしい。



「マルス、貴方さ、脇腹弱いんじゃない?」



その顔にマルスは笑顔でまさか、と言ったらしいが、一瞬の渋面と空白をロイ達が見逃すはずもなく。
気付くとスタジアムからここまで壮絶な追いかけっこになってしまっていたらしい。
簡潔すぎる経緯を話してくれたアイクに感謝し、寝っ転がってるマルスに視線を合わせるべく、しゃがみこんだ。



「ね、脇腹弱いのホント?」

「弱いわけない、弱いわけないよ、弱いわけないだろ。」

「弱いんだ?」

「…弱くありません。」

「くすぐってみてもいい?」

「絶対ダメ!!ネスに触られるのは光栄だけど別の場所にして!!」

「黙れ変態!!」



がつん、と鈍い音を響かせてピットくんが鉄鎚を落とした。



「ねぇ、殴るより脇腹つつこうよ。ネス、抑えるの手伝ってくれる?」

「うん、くすぐってるときの力ってすごいからね。」

「ちょ、ちょっと待って、ホントに待って。あのさ、話し合おうよ、絶対分かり合えるはずだから…!!」



マルスの声には耳も貸さず、コンセントレーション。
華奢に見えるくせに腕力結構あるから、下手すると抑えつけるだけじゃ逃げ出しちゃうかも。
そういうわけでぼくのPSIでしっかり抑え込む、ぼくの集中が解けるまで、大体は押さえこめるはずだ。



「さぁて…マルスさん、日頃のうらみ、晴らさせてもらいますよぉ…。」

「僕さ!!ピットくんに何したかホントに心当たりないんだけど!!」

「トレーナーさんのことですが、セクハラまがいのことしてるでしょ、ボク、知ってるんですからね。」

「………。」



してたのか、やっぱり結構最低な奴だな。



「僕も、置いてかれたこと、まだ恨んでるの、知ってるよねぇ?」

「ロイ、あのね、それについてはもう何回も謝って…!!」

「僕のいない空白期間にネスと何してたか、それを考えると安いもんだと思えるんじゃない?」

「………。」



根も葉もない、けどまったくその通りだ。



「…オレは特にないんだが…まあ…面白いことは、なぁ。」

「アイクに蹂躙されるのが一番納得出来ない!!絶対出来ない!!」



アイクにも面白いものの判別くらい出来るんだ…そしてみんな、指がわきわき、と。


時計の針が正午を目前にした洋館の中で、マルスの悲鳴とも笑い声ともとれる奇妙な叫び声が響き渡った―――。











「しかし脇腹とは…意外というかセオリーというか。」



マルスの屍を尻目に、ぽつりとつぶやく。
ピットくん達は日頃の恨みを綺麗に発散出来たようで、すっきりした顔をしていた。
日頃の行いが悪いからだよ、マルス。



「ふ…腹筋が…死ぬ…。」

「それもこれも日頃の行いだろ、特にセクハラ。」

「そういえば、ネスは脇腹聞かないの?」



床で半死状態のマルスの隣に座り込んでみれば、死にかけの指が少しだけわきわきど動く。
ロイの問いかけに、ぼくはこっくりとうなずいた。
残念ながら脇腹はまったくきかない、ていうかさ、わかんないかな、…割とよく触れるくせに。



「そいえばネスは抱っことかで脇腹掠めても、全然きかないよな。何で?」

「…たぶん、ここに来てからかな、しょっちゅう抱きあげられるようになってから。」



ロイの声にうーんと少し声を鳴らして、そう答える。
ぼくだって初めから強かったわけではなく、それこそ脇腹はすごく弱かった。
それがどういうわけか最近はくすぐったいというよりは、うん、恥ずかしい意味合いではきくけど。
というか、あんまりくすぐったいっていうの、ないな。



「くすぐったくないってこと?」

「大声出して笑いたくなるようなくすぐったさはね、ないかも。」

「すごー、まぁ、ボクはそういうもの事態ナイようなもんだから関係ないけど。」



天使にソウイウ神経はないのか、特に役に立つ知識ではないかもしれないけど、覚えておく。(無駄なことはしないためにも)
そうとなると、アイクとかロイはどうなんだろう。



「僕?普通に脇腹弱いよ、マルスも頭おかしいけど人間なんだから、脇腹きいて当然だよね、今思うと。」

「…オレはどうだろう、小さい頃は妹にくすぐられたりしていたが…。」

「ってことは弱かったの?アイクさんが爆笑してる姿とか、ボクは想像できない。」

「ぼくも…。」

「人並みに爆笑すると思うぞ、弱かった記憶がある。」



それは意外、無愛想面から、きかないもんだと思いこんでた。
実際きかなそうなタイプだと思うんだけど、…いや、違うな。



「アイクさ、爆笑するにしても声が出ないんじゃない?」



腹筋を抑えて起き上がったマルスが、唐突に声を投げかける。
あぁ、そうそれ、それが言いたかった。
こういうタイプはきっと、笑い声が喉に絡んで声にならない爆笑をするんだと思う。
違うだろうか、マルスの声にアイクはむぅ、と悩みこむような素振りを見せて。



「…そうだな、大声で笑ってることはなかったと思う。」

「ね、仏頂面が情けなくなるだけだと思ったんだよ。」

「…もう一回やられたいのか、マルス。」

「冗談、それよりネスは脇腹よりもーっと弱いとこ、あるよねぇ?」

「!」



弱いとこ、って。
言われて思い浮かぶのは一ヶ所、ついこの間判明した、一ヶ所だけ。
あそこは、その―――。



「え、何?脇腹とかじゃなくて?」

「まぁ結構きく人多いと思うけどね、たぶん僕もきくし、されたことはないけど。」

「…またマルスか、そういうの見つけんのさ。」

「がめないがめない、ロイが照れてる間に世界は回ってるんだよ。」

「マルス!!ダメ!!言わないで!!」

「…おぉ…そんなに弱いのか…そこ…。」



「じゃぁネス、言わない代わりに思う存分くすぐっていい?」



にーんまり。
あぁくそ、だからみんなに嫌な奴嫌な奴って言われるのわかんないのかな。
膨れ面で見上げても、マルスはニコニコ笑うだけ。
―――くすぐるとか、そんな生易しいもんじゃないこと分かってるな、あの顔。
弱いっていうか情けないっていうか、ホントイヤなことわかっていうんだから。
と、それが分かってて駆け引きが思いつかないぼくは、どうせ子供。



「…ずるい。」

「さっき助けてくれなかったもん、それどころか加勢されちゃうし。」

「…日頃の行いだろ。」



「ストーップ!!変態マルス!!それ以上ネス困らせるの禁止!!」



「イタっ、何するんだよ!!」



仕方ない、と口を開こうとした瞬間、パーン、と打音。
見かねたらしいピットくんが、マルスの後頭部に一撃手刀を入れた。



「そういうことするからネスが拗ねるんだろ、いいよ、僕は別にネスのことくすぐろうなんて思わないし。」

「ロイ…。」

「同感だ、どうせ知ったところで簡単にくすぐらせてもらえるでもないしな。」

「アイク…。」

「そうなんだけどね、可愛い復讐だと思ってよ、やられっぱなしじゃつまらないだろ?」

「まぁ…それは…悪かったと思ってるけど…。」



ぼくは足をもつれさせたのと、体を抑えとくの手伝っただけだっていうのに。
もう、なんだかんだいってひねくれてるのはマルスの方じゃないか。
そりゃね、笑い過ぎると腹筋が捩れるどころの騒ぎじゃないことわかってるけど。
あとでもっとちゃんと謝ろう、好奇心で酷いことをしてしまったのは、ぼくだ。

心が揺れると、伝わる人もいる。
ふいに頭をぽんぽんと叩かれて、帽子の上を撫でる指がロイのものであると気付くのにそう時間はいらない。
悪いのは、お互い様だもんね。



「とにかくマルス、トレーナーさんに変なことしたらただじゃおかないからね。」

「わ、わかってるよ、その話はもう終わりにしようって。」

「そうだが、今後は多少自重しろ、以降はきっちり制裁するからな。」

「はいはい、気をつけます。」

「じゃ、ボクはトレーナーさんの試合があるから、行くね〜。」

「オレもスタジアムに用があるから、また後でな。」



そう言うなり、アイクとピットくんは並んでスタジアムの方へと逆戻りしていく。
意外にも二人は結構、空気を読んでくれるらしい。
―――大人げないんだから、マルスの馬鹿。



「―――大人げないとか考えてるだろ?」

「だってそうじゃないか、ずるいよ。」

「そうそう、第一、ネスと言うものがありながら、トレーナーくんにセクハラかますマルスが悪いんじゃないか。」

「僕はそのへん心当たりないんだけど、ピットくんの被害妄想ってのもアリじゃない?」



まぁ、そうとも言える、トレーナーさんのことには必死だもんね。
残念すぎることにぼくらの知ってる範囲では、まったく相手にされてないけど。



「あの…マルス。」

「うん?」

「その、ごめん、遊んで。」

「うん、もういいよ、そんなに怒ってないから。」

「あ、怒ってると思ってたんだ?マルスがバカ言うからだよ。」

「え、怒ってなかったの?」

「あんまりね、あんまり。ちょっとは怒ったけど、些細なことだよ。」

「…怒ってたんじゃん。」

「ちょっとだけね。」



ロイの手が帽子の上からどくなり、マルスの腕が僕の脇腹を掠めていく、ひょい、と軽々抱きあげられて、視線が上がる。
ずるいよなぁ、この視線、4、5歳違うだけでこんなに伸びるって絶対ずるい。



「そうしてみるとホント脇腹きかないんだね。」

「うん、この辺は全然。」



「で、ネスの弱いところってどこなの?」




にこーり。
…ロイってどうして、こういうときだけイキイキしてるんだろう…。
とはいえ、ぼくももう隠すつもりはない、そう思わせたのはロイの指先がきっと心地のいいものであると、そう確信してるから。
いいんだ、ホントはくすぐられても、二人なら。





「…あしのうら。」




細々呟いたぼくの声は確実に二人の耳に届いたようで、その後は…指の先に踊らされることになるんだけど。
結局リュカの試合が終わるまでの結構長い時間の間、ぼくは腹筋とはまた別の場所を痛めることになる。





指の先で大波乱―――指先の裏腹な愛情に踊らされて








ギャグではないらしい、憂氷的には結構エロを掠めていたりもする。
キャラの口調書きわけが難しいなと思って、
対話を多くしようと思ってたら書くときのくせのせいでなんかページ数が酷いことにw
アイクはオレでお前、ピットくんはボクでアンタかキミ、
ロイ様は僕で貴方か君、マルスはロイ様と同じ、口調が穏やかかちょっと子供っぽいかだけの変化。
ロイ様がマルスを貴方って呼ぶのは、なんとなく格意識。アイクはその辺よくわかってないといいな。
一国の王(予定)>地方の領主(予定)>傭兵(スマックスは明らかに)なのにね!
マルスは絶対脇腹超弱いと思う、完全無敵の王子はちょっとした弱点が最大の弱点だといい、脇腹テラ弱い。
ちなみにうちのマルスは基本的に何でもできます、マジで何でも。
王子ですから^^教育の幅が違うと信じてる^^^^
ロイ様も割と何でもできます、ただこっちは王子程教育はないけど、
直感とかで出来るタイプ、家庭料理とか地味に得意そう^^
アイクはそういうのそつなくある程度出来る具合、料理とか、おいしいものは好きだけど、自分では最低限食えるものしか作らない。
話がそれたが王子は何でもできるし何でもやります、最後にネスさんを抱き上げたのは、脇から持ち上げてその後姫抱きに移行している設定。
ネスさんは人前で抱っこされることにあまり抵抗はありません、たぶんマルスとロイは抱き上げ方が超うまいんだと思う、うっかり気を許す^^
やっぱりネスさんはデレ率のほうが高いです、まだまだ甘えんぼな年頃^^
テンションが高いとツンも出来る程度の能力なのと、割と安定した精神状態が保たれてるので、大体デレ。
そしてネスさんが一番何にも出来ません、可愛い^^
アイクといい勝負だが、出来ない率にかけてはピットくんも相当だと思う、天使に生活能力必要ない^^
ついでに大々的にピットレですが、トレーナーくん、現時点ではピットくんに目もくれてません、天使大嫌い^^

そしてこれですが、続きをエロで考えていたりいなかったり。
テンションが崩れなければそのうち書くかも。








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